レコード棚製作の記 (1: 設計・加工編)

高さ2m23cm、収納枚数約1,500枚、天井(梁)までぴったりのレコード棚の自作にチャレンジ。
しかし、サイズが大きいので工夫も必要で。
DIY好きな皆様向けに、製作記録をまとめました。

増えるがままに、カラーボックス、床、クローゼットの中、と飛び地状に室内を占拠してきた私のレコード群。
2023年春のある日、意を決してちゃんとしたレコード棚にまとめることにしました。

設置予定の場所は、高さ2mほどのCD棚を置いてある、部屋の一角(左図)。

CD棚をどかすと、梁までの高さが2,240mm、部屋の端から窓枠までの幅が1,080mm。
これにピッタリ合うシンデレラフィット的なレコード棚は、市販のものでは見つかりませんでした。幅が余るまたは足りない、幅は良くても高さが足りない、など…

仕方ない。作ろう。

大学の後輩で、棚や家具を何本も作ってきたDIYの先輩である本間くんおすすめのサイト&書籍「清く正しい本棚の作り方」を参考に、まずは図面から。

左が出来上がりイメージ。(CADとかではなくてスプレッドシートの「図形」で作ってるので、実は割と適当)


長さ1mを超える棚板にぎっしりレコードを乗せた場合、横から止めただけでは間違いなく棚板がたわむ(または落ちる・折れる)ので、縦の仕切り板をつける。(多くの市販レコード棚も正方形に近い箱型の組み合わせになっている。)

右は、各パーツの寸法計算表(前述の「清く正しい本棚の作り方」から)。ここで出した値の長さに材木屋さんでカットしてもらうことになります。

棚は、最終的には3次元のものであっても、材料は2次元。
1枚の板から、いかに効率よく、確実に各パーツをとるかを念頭に、上記の木取り図を書く。

これを持って、今度は材木屋さんへ。
以前から目星をつけていた、高円寺の山サ木材さんに伺う!

こちらは、かくしゃくとしたオカミさんが店主として営む一方、木材加工など普段の運営は、演劇の舞台製作を手がけるチームのTEN WORKSさんが、舞台製作と兼務でやっているという、ユニークな営業形態。実際、初めて行った時もなにやら大道具的なものを作ってました。
材料の厚さや強度などアドバイスをいただき、できあがりイメージや工程を確認。

天井まで届く高さを一枚で取るので、4尺 x 8尺(ヨンパチ)のパネルを注文。材料は加工しやすい合板で、完成後、最もよく目にすることになる側板は、外に白いシナを貼ったランバーコア(写真)。

注文から数日後、入荷した材料を目の前で切っていただいた。
材料費、カット代、配送費含めて4万円かからないリーズナブルさ。

カットされた材料を届けてもらい、さて、いよいよ加工。
通常は、
 組み立て(下穴開け・ネジ止め・ボンド)
 サンダー掛け
 塗装
という順番。

が、実際に設置する部屋(これを書いている部屋です)は、レコードや本のみならず、電子機器や楽器だらけで、サンダー掛けや塗装をこの部屋で行うのはとても無理。製作はガレージで行います。

ところが、長い側板をいったん部屋に持ち込んでみて気が付いたが、完成すると幅1,080mm、高さ2,230mmになる棚は、廊下と部屋のドアの突き当たりの空間をどうやっても通らない(予想はしてました)。

そこで、
各パーツの加工、塗装までガレージで行い、
それを部屋に持ち込んで組み立てる、
という自宅内IKEAまたはニトリとでも言うべき手順を踏むことにしました。

今回のレコード棚は、寸法通りにカットしてもらったとはいえ手作りなので、機械的に測った位置ではなく、若干のズレや加工ミスを含む実際の素材の、最終的に部材同士がつながるリアルな位置にネジ穴が空いている必要がある。
したがって、塗装や糊付けの前に、ネジ穴開け・ネジ止めまでを、実際に加工してみる。

全体としてはこんな工程に。

[ガレージにて]
 加工(下穴開け)
 仮組み(ネジ止め)
 仮組み解体
 各パーツサンダー掛け
 各パーツ塗装 
[設置場所にて]
 組み立て(ボンド)
 設置

さて、仮組み。
位置ぎめが必要なネジ穴のうち一番重要なのは、側板から棚板の両側に対してのねじ止め箇所。これが適当だと組み上がらないことになる。

左の図の、各棚板の間の正確なタテの距離を出す必要がある。
この距離は、垂直な仕切り板の高さで規定される。


ところが、この仕切り板をそもそもどう固定するか。かつ、組んだあとでバラせる方法で。


左図に書いたような課題を満たす、この構造における仕切り板の止め方は?

ダボ(俵形をちょっと伸ばしたような形の、小さい木片のアレです)でつなぐやり方も考えられるが、幅18mmの仕切り板に対して比較的大きい下穴を開ける必要があり、棚板とのずれなど、ミスった時のリカバーがうまくいかない恐れがある。

そこで、次のような手順を考えた。(ここからが今回最大の工夫ポイント笑)

仕切り板の上は一点、下は二点止め。
(実際には棚板1枚に仕切り板2枚がセットになるが、簡略のため仕切り板1枚として描く)

1. まず、仕切り板を上の棚板から下向けににネジ止めする。(ツラがあっている状態で、棚板の奥行きの真ん中から仕切り板の真ん中に向けて。)

2. この仕切り板を約90°回転させ、今度は棚板の上に立つ仕切り板を、2カ所で固定する。

3. この状態で、さっき90°回した、下の仕切り板を戻す(反対側の仕切り板と揃える)と、
「棚板に、上下の仕切り板が垂直に付いたもの」
ができた。

図は下から上へ見てください
この図も下から上へ見てください

4. 1.と同じものを作り、2.の要領で3.に2点どめする。
 棚板と仕切り板、2段分ができた。

上記1.〜4.を全ての段(6段)行って、棚の内側、すなわち両側の側板と天板・底板に囲まれる正確な棚板・仕切り板の構造ができた。


天板、底板を取り付け、横倒しにして、上に乗せた側板にネジ穴を開け、組んでみる。
(下図。反対側の側板はまだ取り付けていない状態。)

次に、右の写真のように組んだ状態で、(本間くんに借りた)電動サンダーで各板のツラの面をサンダー掛けをし、一旦仮組み工程は終了。
せっかく止めたネジだが、全てはずして解体し、今度は各板の平らな面をサンダー掛け。

ここが最も騒音と腰痛が発生しやすい工程です。

ちなみに当初は、この後の最後の組み立ても本当に市販の組み立て式家具のようにネジ止めだけにできないかと思っていたが、上記の時点で、(後で裏板をつけるにせよ、)ネジの引っ張り力だけではやはりぐらつきがあるなと思い、本チャンの際にはボンドも併用することにした。

ネジ穴加工・サンダー掛けを終えた各パーツ。
塗装に入る前に、ボンドが乗ることになる接合箇所をマスキングした。

(ちなみに、棚板、仕切り板の厚さは主に18mmにしましたが、ありがたいことに市販のマステ、幅が18mmのものも多いです。)

けっこう長くなったのでここまでを前半とし、塗装から設置は後半に続きます。お楽しみに(?)

後半(塗装・組み立て・設置編)へ

余談:
山サ木材さんでカットしてもらってる時、ちょっとした楽しい事件がありました。

カットしてもらってる間は、作業の様子を見るか、スマホでNBA(マイアミヒートがNYニックスをやぶってイースタンカンファレンスのファイナル出場を決めたゲームでした、ちなみに。ジミー・バトラー最高。)を見ていたのですが、
ふと外を見ると、前の道路をカモの親子が横切っています。
テレビで流行ったカルガモの親子の行進です。子ガモは7,8羽いたでしょうか。

目を疑いましたが、すぐ近くに池のある公園があるので、きっとそこから来たんですね。でもTEN WORKSさんも初めて見たとのこと。
あら〜とか思ってるうちに、そのまま通りを抜けて向こうに歩いて行きました。
事件はここから。

1,2分後、大きな犬を連れた女性が店の前に現れ、「子ガモが一羽、そこではぐれちゃってるんです!私犬に引っ張られててどうにもできないから、親ガモに渡してあげてくれませんか?」

出て探してみると、確かに一羽、所在なさげに軒先を出たり入ったりしてる子ガモが。
両手のひらに小ガモを乗せて、さっきカモたちが歩いて行った方向にとりあえず走りました。100mほどいったところで、広い道路(早稲田通り)に出る直前で追いついて、親兄弟のとこに戻してやりました。
その後どこに向かったのかはわかりませんが・・・

惜しむらくは、一枚も写真を撮っていないこと。
無事に育ち、また見られるといいな。

GoogleMapにも、公園にカモが生息すると書いてあった

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